みなさんこんにちは。

私はメインの青年海外協力隊の活動とは別に、個人的に調べていることがあり、今日はそのことについて書きたいと思います。

過去のブログで、カイロにある、ゴミの街、”マンシェットナセル”について2回ほど記事を書きましたが、今日はその続きです。

先ずはざっと今までの出来事

マンシェットナセルという街を知ったのは、マンシェットナセルにある、とある有名な壁画と、その近くにある巨大な洞窟教会を観に行こうというところから始まりました。

壁画はフランス人アーティストのel seedという方が、マンシェットナセルの現状を社会に訴えるために描いたものだそうです。

マンシェットナセルは、エジプトでは少数派のクリスチャンであるコプト教徒が住む街で、その人たちはゴミを収集し、そのゴミを分別することを仕事としています。自分たちが住む街にゴミを持ち込んで、自分たちが生活している場所でゴミの分別をしているのです。

その現状を目にした私は、色々なクエスチョンが頭の中に出てきて、それを知りたいと思うようになりました。

  • なぜここにクリスチャンの人が住むようになったのか
  • どうしてゴミを集めることになったのか
  • エジプトのゴミの分別や処理方法は実際どうなってるのか
  • 私のゴミはどう処理されているのかetc…

なので、有志メンバーで協力して色々調べ、先ずはマンシェトナセルに行ったことがある日本人の方からお話しを伺う機会を得ました。

そしてそのあと、マンシェットナセルに住む3人の少年にスポットをあてたドキュメンタリー映画”Garbage Dreams”を観ました。

さらに、話しを伺った日本人の方の情報をもとに2回目のマンシェットナセル訪問では、NGOによって運営されているリサイクル工場とそこで作られた商品を販売するお店を見学しました。

でも、そのNGOに行く途中で偶然にも、”Garbage Dreams”にもでてきていた”リサイクルの学校”という施設をみつけ、その場所でとある男性と立ち話をしたら、なんとその人は映画の主人公であるアダムでした。

映画ができたのが2008年で、今2018年なので、大人になったアダムが目の前にいました。

その時は5分程度の立ち話をし、彼と連絡先を交換し、今度詳しく話しを聞かせてほしい、というこになって、先日再会することができました。

ここまでが今まで起こったことです。

ということで、今回は私と他2人の隊員と共に、アダムの話を聞きにいくことになり、その内容を共有したいと思います。

マンシェットナセルの歴史

1920~1930年代にエジプトの南部の町のアスュート、メニアなどのクリスチャンがより良い生活を求めてカイロにきたそうです。話によるとその頃クリスチャンは迫害されていて、奴隷としてきた人も一部いるとか。実際歴史上の事実と照らし合わせてみないとわからないのですが、アダムの話、そして私の解釈が間違っていなければ奴隷として来た人たちもいるそうです。

最初の頃は集めた残飯ゴミを家畜の餌として与えていたそうなのですが、その後、それが発展して1970年代からリサイクルをして収入を得ることを始めたようです。

尚、ゴミを集めて生活している人たちは、マンシェットナセル以外にも、大カイロ圏(東京都のような大きなエリア)でいうと6,7箇所あるそうです。

エジプト全体の話は聞いていませんが、おそらく各地域、ゴミを集めて収入を得る人たちが住むエリアがそれぞれに有るのだと思います。尚、エジプトではゴミを集めて生活してる人たちを”ザッバリーン”と呼んでいます。

エジプトのゴミ分別について

エジプトはゴミの分別ルールがありません。全てのゴミを一つにまとめて、家の玄関前に置いておくと、マンションの管理人さんが集めてくれているようです。その後、そのゴミはどうなっているのかをアダムに聞きました。

大まかにわけて3つのパターンがあるようです。

1.管理人さんがマンション全体のゴミをあつめ、そのゴミを道のゴミ捨て場のようなところに置いて行く。

通りに集められたゴミを、マンシェットナセルのゴミ集めの人たち(以下、ザッバリーン)が持って行くか、エジプトの軍で運営されている??ゴミ拾いの人たちが持っていくかだそうです。
その軍の運営というのは、もう少し詳しく調べないとですが、高齢者を再雇用で雇っているそう。そしてその集められたゴミというのは分別されずに全て埋め立てされるそうです。軍で運営されているというゴミ拾い係の人たちはユニフォームをきているので、ザッバリーンと区別できます。

2.家の玄関前に置いておいたゴミを、ザッバリーンたちが直接とりにくる

3.管理人さんが家の前に置いてあるゴミでお金になりそうなゴミを抜いて、そのゴミをザッバリーンに売る

だいたいこんな感じです。なので、エジプトのゴミはザッバリーンによって回収され分別されるか、軍運営のユニフォームを着た人たちが回収して全部埋め立てされるかの2つのようです。

とにかく、ゴミを持って行く人がいるという認識がエジプト人の中にあるから、みんなあちこちにゴミを捨てまくる。なのでカイロの街は本当に汚いです。

アダムのこと

アダムは現在31歳。私と同じ年でした。2008年映画が世に出た時は21歳なので、撮影はその前で、おそらく18,19歳ころ撮影されたのだと思います。
アダムはマンシェットナセルで生まれ育ちました。父、母、姉(おそらく4人)とアダム。決して裕福ではなく、映画のなかでもゴミ拾い以外に仕事がないと言っていました。

マンシェットナセルに住む男の子は小さい時からゴミ拾いの仕事があって学校に行っていない子が多いようです。アダムはお姉さんが学校にいっているのをみて、どうしても行きたいと両親にお願いし、学校に行っていたそうですが、ドロップアウトしてしまいました。

これはマンシェットナセルだけではなく、エジプト全体の問題が関連しています。
なぜなら、エジプトの教育は体罰が当たり前。
棒や鞭で生徒を叩く、長椅子に生徒がぎゅうぎゅうに座らされて授業を受ける。
これに耐えられず、ドロップアウトしてしまう生徒が多いようで、アダムもその一人となってしまいました。

何歳から、何歳まで学校に行っていたのかはまだ聞いていないのですが、学校に行かなくなったので、今度は働かなければいけなくなりました。その後映画に出ることになって、映画が世に出て10年経って今ここに存在する。これがざっとアダムお生い立ち。

そして、この10年で彼は信じられないほど別人になっていました。

映画の中では、イギリスの団体のサポートでアダムがイギリスの研修にいって、分別システムを学ぶのですが、そのことがきっかけで海外で学びたいという思いが強くなります。そして映画が世に出てから、実際にアメリカで2年間ESL(ノンネイティブのための英語の学校)に通い、帰国したそうです。なので、英語がペラペラ。

今の仕事はフリーランサーで、スクールのマネージメントをサポートしたり、海外の人を案内したり、多岐にわたって色々なことをしてるそう。

アダムのこれから

高校卒業の資格を取ったので、今はアカデミックでの勉強をしているそう。彼の夢はエジプト全土でリサイクルが進んで、リサイクル工場を居住地ではなくて、郊外に移して、生活圏とゴミ処理施設を分けることだそう。なんか、アダムの話をきいていたらどんな大変なことも成し遂げてしまいそうな気がしました。

ざっとまとめると、こんな感じで2時間ほどの会でした。実は、アダムと出会った場所のリサイクル学校は今資金面で色々困難に直面していているそうです。今度会った時にまた学校の話を詳しく聞く予定なので、学校の話はまた次回訪問したときにまとめて書きたいと思います。